不動産投資の繰り上げ返済はした方がいいのか。メリット・デメリットと併せて解説。
投資用不動産の困った事例についてお話しました。
そこで挙った、
『月々の収支が悪い』
ことへの対応策について
今回はお話します。
目次
- ○ 不動産投資の2つの繰り上げ返済方法
- ・返済額軽減型
- ・期間短縮型
- ○ 不動産投資で繰り上げ返済をするメリット
- ・利息額を減らして返済額を少なくすることができる
- ・返済期間が短くなる
- ・金利変動リスクの軽減になる
- ・空室時の支払いリスクが減る
- ○ 不動産投資で繰り上げ返済をするデメリット
- ・手数料がかかることがある
- ・手元の資金が減少する
- ・新しい不動産投資に着手する資金を用意できない
- ・低金利の場合繰り上げ返済の効果が薄い
- ○ 不動産投資で繰り上げ返済を見極めるポイントと注意点
- ・利回りが低い物件の繰り上げ返済は避ける
- ・修繕費を確保できているか
- ・返済額や期間の縮小だけにとらわれない
- ○ 繰り上げ返済をうまく活用する方法とは
- ・少額からの返済を活用しつつ、高金利の物件から返済する
- ・手持ちのキャッシュとバランスをみる
- ○ 不動産投資で繰り上げ返済をしないという選択
- ○ まとめ
不動産投資の2つの繰り上げ返済方法
繰り上げ返済が有効な場面というのは
その名の通り
ローンの一部を繰り上げて返済することで
ローンの残債を少なくすることです。
それによって得られる効果はいかの2つから選択できます。
(a)返済金額の減少
(b)返済期間の短縮
返済額軽減型
月々の支払いを減らすことを目的としている場合、
(a)返済金額の削減
を選択することになります。
ローンの残債を減らすことができるので
残ったローンの金額で所定の返済期間をもとに
月々の金額を再計算することで
月々の支払金額が減少します。
期間短縮型
投資用不動産のローンに関して、繰り上げ返済を行う際の一つの選択肢が「期間短縮型」の繰り上げ返済です。
この方法は、返済期間を短くすることで、総支払利息を減少させることが主な目的となります。
期間短縮型繰り上げ返済の魅力は、長期的に見たときの金融コストの削減にあります。
具体的には、繰り上げ返済によってローンの残高を減少させることで、それに伴う利息の支払いが減ります。
結果として、ローンの全体的な返済期間が短縮され、利息の総支払額が減少するのです。
これは、投資の利益率を向上させるという観点から非常に有効な手段と言えます。
期間を短縮することで、将来の金利変動リスクを低減し、より早くローンを完済することができます。
期間短縮型繰り上げ返済は、特に将来の不確実性を避けたい投資家や、早期のローン完済を目指す投資家にとって魅力的な選択肢です。
ただし、この方法が投資戦略に適しているかどうかは、
投資の目的、現在の金利環境、将来のキャッシュフローの予測など、多くの要因を考慮して決定する必要があります。
適切に計画された期間短縮型繰り上げ返済は、不動産投資の収益性を高める上で有効な手段となり得ます。
不動産投資で繰り上げ返済をするメリット
不動産投資におけるローンの繰り上げ返済は、投資家にとって多くのメリットをもたらします。
繰り上げ返済は、長期的な金融コストの削減、キャッシュフローの改善、そして金利変動リスクの低減など、
投資のリスク管理と効率化に寄与します。
以下に、不動産投資で繰り上げ返済を行う主なメリットを詳述します。
利息額を減らして返済額を少なくすることができる
繰り上げ返済を行う最大のメリットは、返済期間全体にわたる利息の総額を減らすことができる点にあります。
繰り上げ返済によってローンの残高を減らすことで、それに伴う将来の利息支払いが減少します。
これは、ローンのコストを直接的に下げ、投資の総収益性を高める効果があります。
返済期間が短くなる
返済期間を短縮することで、より早くローンの負担から解放されます。
これは、金利上昇のリスクを減らし、将来的なキャッシュフローを安定させる上で大きなメリットとなります。
また、ローンがなくなることで、新たな投資機会に対する柔軟性が高まります。
金利変動リスクの軽減になる
固定金利期間が終了した後の変動金利への移行リスクを考慮すると、繰り上げ返済による返済期間の短縮は、金利が上昇するリスクを軽減します。
これは、長期にわたる金融環境の不確実性に対する一定の保護を提供します。
空室時の支払いリスクが減る
返済負担が軽くなると、空室期間中でも財務的な圧力が減少します。
これにより、賃貸市場の変動に対してより柔軟に対応できるようになり、適切なテナントを見つけるための時間を確保できます。
不動産投資で繰り上げ返済をするデメリット
不動産投資におけるローンの繰り上げ返済は、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
これらのデメリットを理解し、慎重に考慮することは、投資戦略を立てる上で非常に重要です。
以下に、不動産投資での繰り上げ返済に関する主なデメリットを挙げます。
手数料がかかることがある
繰り上げ返済を行う際には、金融機関が手数料を請求する場合があります。
この手数料は、繰り上げ返済する金額に応じて数万円から数十万円に及ぶことがあり、返済の効果を相殺する可能性があります。
したがって、繰り上げ返済を行う前には、手数料の額を確認し、
その支払いが繰り上げ返済の利益を上回らないか慎重に検討する必要があります。
手元の資金が減少する
繰り上げ返済によって手元の現金が減少するため、他の投資機会への対応能力や緊急時の資金確保の柔軟性が低下します。
特に市場に突発的な投資チャンスが生じた時や、予期せぬ出費が必要になった場合、十分な資金を確保していないと、
機会損失や資金繰りの問題に直面する可能性があります。
新しい不動産投資に着手する資金を用意できない
低金利の環境下では、利用可能な資金を繰り上げ返済に充てるよりも、
他の高収益な投資機会に投資した方が全体の投資収益を高めることができる場合があります。
繰り上げ返済は、ローンの利息コストを削減しますが、
その資金がもたらすことが期待される収益率がローンの利息率を上回る投資がある場合、
繰り上げ返済を選択することは最適な戦略ではないかもしれません。
低金利の場合繰り上げ返済の効果が薄い
不動産投資におけるローンの繰り上げ返済は多くの場合、金融コストを削減し、長期的な利益を増やすための戦略として採用されます。
しかし、低金利の環境下では、この繰り上げ返済の効果が薄れるというデメリットが生じることがあります。
この現象を理解するためには、金利の概念と不動産投資におけるローンのコスト対利益分析を考慮する必要があります。
金利とローンコスト
金利が低いということは、借入れに対するコストが低いということを意味します。
つまり、銀行からの借入れや他の金融機関からのローンに対して支払う利息が少ないため、借り入れた資金のコストが低減します。
この状況では、追加で支払う利息額自体が元々少ないため、繰り上げ返済によって節約できる金額も限定的になります。
繰り上げ返済の効果の薄さ
低金利環境下での繰り上げ返済は、支払うべき利息の総額を減らす効果が薄れます。
これは、元々の利息負担が低いため、繰り上げ返済を行っても節約できる金額が少ないからです。
例えば、年率1%の低金利で借り入れた場合、繰り上げ返済による利息の節約額は、年率5%で借り入れた場合に比べて大幅に少なくなります。
投資機会の損失
低金利の環境では、繰り上げ返済によって手元から出ていく資金を、より高い収益を生み出す他の投資機会に回す方が有益な場合があります。
つまり、手元の資金を使ってローンの繰り上げ返済を行う代わりに、その資金を使って別の高利回りの投資に資金を投じた方が、
長期的にはより大きな収益を得られる可能性があります。
低金利の環境下での不動産投資におけるローンの繰り上げ返済は、その効果が薄いというデメリットを抱えています。
繰り上げ返済によって節約できる利息額が限定的であるため、特に資金をより高い収益を期待できる他の投資に回せる場合、
その選択肢を慎重に検討する価値があります。
投資家は、現在の金利環境、将来の金利予測、自身の投資目標と財務状況を総合的に考慮し、繰り上げ返済の決定を下すべきです。
不動産投資で繰り上げ返済を見極めるポイントと注意点
投資用不動産のローンを繰り上げ返済するかどうかを検討する際には、複数のポイントと注意点を考慮する必要があります。
繰り上げ返済は、一見すると魅力的な選択肢に思えるかもしれませんが、実際にはそれが最適な戦略であるかどうかを見極めるためには、
より広い視野と深い洞察が求められます。
以下に、繰り上げ返済を検討する際の主なポイントと注意点を挙げます。
利回りが低い物件の繰り上げ返済は避ける
利回りの重要性
不動産投資における利回りは、物件が生み出す年間の収入(家賃収入など)を購入価格で割ったもので、投資の収益性を示す重要な指標です。
高利回りの物件は、比較的高い収益性を示すため、投資家にとって魅力的です。
逆に、利回りが低い物件は、同じ投資金額を用いた場合に他の高利回り物件に比べて収益が低くなります。
資金配分の最適化
投資用不動産の繰り上げ返済は、その時点で手持ちの資金を使って未来の利息支払いを減らす行為です。
この資金は、他にも高い収益を生み出す別の投資や、より収益性の高い不動産の購入に回すことができます。
利回りが低い物件に対して繰り上げ返済を行うと、その資金がもたらすことができたであろう高い収益を逃すことになります。
これは、機会コストの観点から見ても非効率的な資金の使用方法と言えます。
投資効率の観点
利回りが低い物件の場合、その物件自体の収益性が既に限定的であるため、繰り上げ返済によって得られる利益(利息支払いの削減)も相対的に低くなります。一方で、高利回りの物件では、同じ繰り上げ返済でも、資金が生み出す影響(即ち、利益)はより大きくなり得ます。
したがって、利回りが低い物件よりも、高利回りの物件に資金を配分した方が、全体としての投資効率が高まります。
総合的な戦略の一環として
不動産投資においては、単に物件ごとに収益性を最大化するだけでなく、ポートフォリオ全体のバランスや将来の市場動向、
金利環境なども考慮に入れた上で、資金の配分を決定する必要があります。
利回りが低い物件の繰り上げ返済を避けるという原則は、こうした総合的な戦略の一環として考えるべきです。
利回りが低い不動産の繰り上げ返済は、投資効率の観点から避けるべきであるというのは、
投資用不動産に関する資金配分を見極める上での重要なポイントです。
投資家は、手持ちの資金を最も効率的に利用して最大の収益を生み出すために、利回りの高い物件や他の高収益投資への再投資を優先すべきです。
修繕費を確保できているか
不動産投資において、ローンの繰り上げ返済を検討する際には、将来の修繕費用を確保できるかどうかを重要な判断基準として考慮する必要があります。
不動産は時間の経過と共に劣化し、その価値を維持、あるいは向上させるためには定期的なメンテナンスや時には大規模な修繕が必要になります。
ここでは、修繕費を確保できるかどうかが繰り上げ返済の判断ポイントとなる理由を詳しく説明します。
修繕費の重要性
不動産投資の成功は、物件の価値を長期にわたって維持することに大きく依存しています。
修繕費は、物件の価値を維持し、収益性を高めるための重要な投資です。
例えば、屋根の修理、外壁の塗り替え、設備の更新などは、物件が安全で魅力的であり続けるために必要不可欠です。
これらの修繕は、テナントからの家賃収入を安定させ、また物件の再販価値を高めることに直結します。
繰り上げ返済と修繕費のバランス
繰り上げ返済は、将来の利息支払いを減らし、長期的な負担を軽減することを目的としていますが、
これによって手元の現金が減少すると、必要な修繕費を確保することが難しくなる可能性があります。
特に大規模な修繕が予想される場合や、急な修繕が必要になった際に、資金不足に陥るリスクがあります。
そのため、繰り上げ返済を決定する前には、将来必要となる修繕費用の見積もりを行い、
これらの費用を確実にカバーできるだけの資金計画を立てることが重要です。
修繕費確保のための戦略
修繕積立金の設置: 定期的に修繕積立金を設け、将来の修繕費用に備えることが賢明です。
これにより、予期せぬ修繕が必要になった場合でも、迅速に対応できます。
キャッシュフローの分析: 物件からの月々の収入と支出を詳細に分析し、繰り上げ返済後も修繕費積立に影響が出ないようにする必要があります。
優先順位の設定: 繰り上げ返済と修繕費の確保の間で、どちらがより高い優先順位を持つかを明確にします。
多くの場合、物件の価値を維持するためには、修繕費の確保が最優先されるべきです。
繰り上げ返済は、不動産投資の一戦略として有効ですが、修繕費を確保できるかどうかはその判断において極めて重要なポイントです。
物件の価値を長期にわたって維持し、投資の収益性を高めるためには、適切な修繕計画とそのための資金確保が必須です。
したがって、繰り上げ返済の検討にあたっては、修繕費の確保を十分に考慮した上で、
全体的な財務計画と投資戦略の中でバランス良く判断することが求められます。
返済額や期間の縮小だけにとらわれない
先にも述べたとおり、
繰り上げ返済は手元に資金さえあれば
比較的、容易に実行することができます。
その反面、収支を良くしたくなるがために
過剰に繰り上げ返済してしまうということも考えられます。
幾ら繰り上げ返済をするかは
収支をどの水準にする必要があるかを試算した上で
設定する必要があります。
繰り上げ返済をうまく活用する方法とは
投資用不動産の月々の収支が悪い主な原因は2つです。
①購入価格が高いことにより、月々のローンの支払額が大きい
②家賃収入が低い
月々の収支というのは
家賃収入>月々の支払い
となっていることが望ましいので
当然のことではあります。
これが
家賃収入<月々の支払い
となっているから、
月々の収支が悪くなるのです。
この収支が悪い状況への対策はやはり2つですね。
(ⅰ)月々の家賃を上げる
(ⅱ)月々の支払いを下げる
しかし、
(ⅰ)の家賃を上げるのは
一般的に空室が出たときしか難しいので
あまり、オーナーがの意思でタイミングが設定しづらいです。
家賃を上げるための取り組みに関してはまた
改めて、紙面を割きます。
そして、
(ⅱ)支払いを下げる
ための方策として考えられるのが
”繰り上げ返済”と”ローンの借換え”です。
今回は繰り上げ返済について説明します。
少額からの返済を活用しつつ、高金利の物件から返済する
投資用不動産における繰り上げ返済は、上手に活用すれば投資の収益性を大きく向上させることができます。
特に、少額からの返済を活用し、高金利の物件から優先的に返済する戦略は、資金効率を最大化し、長期的な負担を軽減する上で非常に効果的です。
以下に、このアプローチのメリットと実践方法を詳しく説明します。
少額からの返済の活用
繰り上げ返済を考える際には、大きな金額のみが効果的だと考えがちですが、
実際には少額からでも積極的に繰り上げ返済を行うことで、長期的に見た利息負担を減らすことが可能です。
この方法の大きなメリットは、資金繰りに大きな影響を与えることなく、徐々にローンの負担を軽減できる点にあります。
例えば、月々の収益の一部を定期的に繰り上げ返済に充てることで、利息の総額を減少させ、返済期間を短縮することができます。
高金利の物件からの返済
ローンの金利が高い物件から繰り上げ返済を行うことは、資金の活用効率を高める上で非常に重要です。
金利が高いということは、そのローンに対する利息負担も大きいということを意味します。
したがって、同じ金額を繰り上げ返済に使うのであれば、金利の高いローンを優先的に返済することで、より多くの利息負担を削減できるのです。
これは、特に複数の不動産投資を保有している場合に、各物件の金利を比較し、
最もコストが高くなっているローンを優先的に減らしていくことで、全体の負担を効率的に軽減する戦略となります。
実践方法
ポートフォリオ内のローン金利を比較: 保有している不動産のローンの金利を比較し、最も高金利のものを特定します。
定期的な少額返済計画を立てる: 月々の家賃収入やその他の収益から、繰り上げ返済に充てることができる金額を決定します。
余剰資金の効果的な活用: 投資からの余剰キャッシュフローや、予期せぬ収入があった場合には、
それを繰り上げ返済に活用することで、ローンの負担をより早く減らすことができます。
繰り上げ返済の効果を定期的に評価: 繰り上げ返済を行った後のローンの残高と利息負担を定期的に評価し、戦略を調整していきます。
結論
投資用不動産における繰り上げ返済は、少額から始めてもその効果を実感することができます。
特に、高金利の物件から繰り上げ返済を行うことで、資金の有効利用が可能となり、長期的な利息負担を大幅に削減できるでしょう。
この戦略は、賢明な資金管理と効率的なローン返済計画を通じて、不動産投資の収益性を最大化するための重要な手段となります。
手持ちのキャッシュとバランスをみる
投資用不動産の繰り上げ返済を効果的に活用するには、手持ちのキャッシュフローとのバランスを適切に管理することが非常に重要です。
繰り上げ返済によって利息負担を減らし将来のキャッシュフローを改善することは魅力的ですが、
それによって現在の流動性が損なわれると、予期せぬ出費や他の投資機会への対応が難しくなります。
以下に、手持ちのキャッシュとバランスを見ながら繰り上げ返済を上手に活用するためのポイントを説明します。
キャッシュフローの分析
まず、月々の収入と支出を正確に把握し、手元にどれだけの余裕資金があるかを明確にします。
投資用不動産からの家賃収入、その他の収入源、およびローン返済、管理費、修繕積立金などの固定費用を考慮した上で、
繰り上げ返済に充てることができる金額を慎重に算出する必要があります。
流動性の維持
繰り上げ返済は長期的な負担を減らす一方で、短期的な手元資金を減らします。
そのため、緊急時の資金ニーズや、将来の投資機会に即座に対応できるよう、十分な流動性を維持することが不可欠です。
流動性のバランスを取るためには、繰り上げ返済の規模を慎重に決定し、予備資金を確保しておくことが重要です。
機会コストの考慮
利用可能な資金を繰り上げ返済に充てることは、その資金を他の高収益な投資に回す機会を失うことを意味します。
したがって、繰り上げ返済の決定をする際には、その機会コストを考慮し、
現在の市場環境や将来の投資計画と照らし合わせて、最も合理的な選択をすることが求められます。
長期戦略との整合性
繰り上げ返済を行うかどうかの決定は、個人の財務状況、投資目標、および長期的な不動産投資戦略と整合性があるかどうかを基に行うべきです。
例えば、不動産価値の向上や賃貸市場での競争力強化のために資金を投じる方が、繰り上げ返済よりも優先度が高い場合もあります。
投資用不動産の繰り上げ返済を上手に活用するには、手持ちのキャッシュフローとのバランスを見極め、
流動性を維持しつつ、長期的な投資戦略に合致する形で資金を配分することが重要です。
繰り上げ返済は、財務的な負担を軽減し将来の利益を最大化するための有効な手段ですが、
その実行は、全体的な財務計画と投資目標を考慮した上で慎重に行われるべきです。
不動産投資で繰り上げ返済をしないという選択
不動産投資におけるローンの繰り上げ返済は、利息負担を減らし将来的なキャッシュフローを改善するための有効な戦略の一つです。
しかし、すべての投資家にとって最適な選択肢ではありません。
実際には、繰り上げ返済をしないという選択も、特定の状況や投資戦略においては合理的な判断となる場合があります。
以下に、不動産投資で繰り上げ返済をしないという選択をする理由について説明します。
1. 機会コストの考慮
手持ちの資金を繰り上げ返済に使用する代わりに、他の高収益投資への再投資を選択することは、特に低金利の環境下で有効な戦略です。
利用可能な資金を、より高いリターンを期待できる別のプロジェクトや投資に回すことで、全体の投資ポートフォリオの収益性を最大化することができます。
この場合、繰り上げ返済による利息節約よりも、他の投資から得られる収益の方が大きくなる可能性があります。
2. 流動性の維持
繰り上げ返済を行うと、その分だけ手元の現金が減少し、流動性が低下します。
市場の変動や予期せぬ支出が生じた場合、十分な現金を保有していることが重要です。
特に不動産市場は、時に予期せぬ機会や必要性が生じるため、繰り上げ返済によって手元の資金を減らすことなく、柔軟な資金運用を可能にすることが望まれます。
3. 税務上のメリットの活用
不動産投資において、ローンの利息は税務上の控除対象となることがあります。
繰り上げ返済を行わないことで、これらの税務上のメリットを最大限に活用することができます。
特に、収益性の高い不動産投資を行っている場合、税負担の軽減を通じて全体の収益性を高めることが可能です。
4. 投資戦略との整合性
繰り上げ返済を行わない選択は、投資家の長期的な目標や戦略によっても左右されます。
例えば、キャピタルゲイン(資産価値の上昇)を重視する戦略を取っている場合、
キャッシュフローの改善よりも物件価値の最大化に資金を投じる方が合理的な選択となることがあります。
不動産投資において繰り上げ返済を行わないという選択は、投資家の資金状況、
市場環境、税務上の考慮、および長期的な投資戦略に基づいて慎重に検討されるべきです。
繰り上げ返済が必ずしもすべての投資家にとって最適な選択肢ではないため、個々の目標と状況に合わせて最も効果的な資金運用戦略を選択することが重要です。
まとめ
繰り上げ返済は手元に資金がある場合は
一番最初に候補に上がる
収支改善の方策になります。
きちんと目指す収支の水準を計算した上で
実行するか検討して見ください。
当ファイナンシャルプランナー事務所は東京都を中心に法人・個人関わらず、あらゆる”お金の問題”の解決を専門としております。
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